きょう、個人的にちょっと気になったツイートがありました。
DJをしている子がリツイート(いいねだったかも)していて目に留まったのですが、「DJをやっている人がイベントの告知やら下らない日常の投稿で終始するのではなく、DJならもっと『あの曲がいいからチェックして』『あのアーティストに注目すべき』などの情報を発信すべき」という旨でした(うろ覚え)。
これに絡み、いろいろと考えが巡りましたので書いていきます。

このツイート、まあ、納得はできるのですが、僕自身はそうは考えませんでした。
DJとは個人的にはいろんな曲を知っているところに価値があると思っています。当然、世に出る以上は誰も知らない曲というのはないのですが、みんながあまり知りえないような曲も知っているということはDJにとっては大きな武器になります。「曲=情報」と言い換えてもいいですね。それをむやみやたらにシェアして捨ててしまうのは行動原理的に間違っているのではと思ったのです。

例えばそんな「情報」でご飯を食べているプロのDJやミュージシャンが雑誌やテレビなどで「注目のアーティスト、楽曲」を紹介するとして。これはタダでやっているわけではなく、原稿料なり出演料なり(いやらしいですが紹介された側からのバックマージンもあるかもしれませんね)、お金というリターンがあります。ただ、受け取るリターンに見合わない情報は、帳尻が合わないため出さないと思うのです。

件のツイートが言いたいこととはずれているのはなんとなくわかります。SNSでDJとしてのプレゼンスを高めたり、別なDJからの「ネタ」が交換できたり、「そうあるべきだ」ということなんだと思います。しかしそれらも、前者であればフォロワー数だったり、後者であれば未知の情報だったり、リターンという概念で説明ができます。ただ、これも帳尻が合う範囲内での話だと思います。

極端な話に切り替えますが、あなたが殺人を犯していたとして、それを関知されていないままだとして、あなたはそれをわざわざSNSで発信しますか?
ネットに書き込めば、おそらく一時はセレブリティなみに話題をさらうことができるでしょう。モラルの低い出版社から実録本の話を持ちかけられ、将来的に印税収入を得たりということもあるかもしれません。ですが、社会に犯罪者と認識され、刑罰を受けて心身の自由を奪われることに見合ったリターンはありません。一時期、バイト先の店舗で冷凍庫に入ったり、厨房で不衛生なことをしたりなどの様子をSNSで発信して「炎上」するケースが多発しましたが、彼らもネットリテラシーを持ち得ていれば、ちゃんと損得勘定してネットに公開することなんてなかったと思うのです。

これを踏まえて、あるバーのマスターが話していたことを思い出したので紹介します。
曰く、「ネットには『知られていい情報』しか落ちていない」ということです。
なるほど、そうですね。先の例を引き合いに出すと、リターンに見合わない情報は公開されることはありません。逆に言えば、「タダで教える!年収1000万円稼ぐ方法」「無料!あの人気商品を○円で買える裏ワザ」などの情報には必ず、裏があるということです。それが本当だとして、不特定多数に知られたら帳尻が合いませんからね。

では本当の情報とはどこにあるのか?
マスターは「新聞に書かれてある」と言いました。
僕の住む地域では春と秋、山菜採りシーズンが本格化すると決まって遭難者が出ます。そのまま山で亡くなってしまう方も少なくありません。捜索に至る場合の多くは、本人が帰宅しないために家族が救助隊に要請するというパターンです。もちろん、採取先で事故があったり、電話が圏外だったり、何らかの事情で本人が通報できないというケースもあるでしょうが、本人があえて救助を呼ばなかったという可能性は捨てるべきでないでしょう。
ではなぜ救助を呼ばないのか。「穴場を知られたくないから」だとマスターは続けます。
山菜採りのベテランは、よく他の人が立ち寄らないスポットを知っているといいます。そこでは自分が取り放題。知られると取り分が減るから誰かに教えたくない。これって、さっきまでしていた、情報の損得計算と似てませんか?

こうして、たとえ遭難して命が懸っても知られたくない穴場、新聞では「○○から南方に数百メートルの場所で発見された」と記される情報こそが、文字通りその人が命と同じくらいの価値を見出した「本当の情報」じゃないか、と。そして、そんな情報は結局、公には開示されないものだということです。
実際に亡くなる方も多いので「おもしろい」とは言えませんが、なるほど興味深かったので覚えていました。

 

最後に宣伝ですが、来る1月28日に僕もDJとして参加するイベントがあります。

いっき(七)

僕が秘密にしているいい曲も、イベントに来てくださる方にはもちろん出し惜しみしませんのでどうぞお楽しみに。